空はなぜ青いのか
月の光しかない闇の中で必死に目を凝らす。



ジャリ


ジャリ


ジャリ



どうやら足音はこちらに近づいているようだ。
(まじかよ・・・)
言っておくが、俺は幽霊と言うものが嫌いである。
苦手な訳じゃなく、嫌いである。



ジャリ


ジャリ


ジャリ



(待て待て待て待て待て!!)
心の中で慌てふためく俺を無視して、足音の招待がゆっくりと月明かりに照らされて行く。



白い物が見えてー・・・



「ぎゃああああああああああああ!!!」
「きゃあ!」




「・・・あ?」
きゃあ?
思いもよらない声に戸惑い、瞑っていた目を開く。
「・・・女?」
目の前には心底驚いたような顔をしてこちらを見上げる涼しげな白いワンピースを着た少女。
「あ、あの・・・」
少女はこちらを伺うようにおずおずと口を開く。
「はぁぁぁ。なんだよ、人間かよ・・・」
ほっとして胸を撫で下ろす。
落ち着いたところで、改めて少女を観察する。
薄い茶色の長い髪に、黒に近い茶色の瞳。
そこらへんにいそうなごく普通の少女だ。
いや、厳密に言えば美少女だが。
しかし、この村の人間ではない。
「あんた・・・誰?」
見たところ何も持ち物を持っていない。
ということは、この村に移住しようとする者でもないはずだ。
しかもこんな村の外れにいるなんて怪しいことこの上ない。
「え、あの、私は・・・」
少女が困ったように目を泳がせる。
そんな反応をされると、自分が少女を苛めている悪者のような気分になる。
「いや、あのさ・・・別に怒ってるわけじゃねぇし・・・」
日頃から幼なじみや子供以外の女と接することがないので、こういうときにどうしたらいいのか全くわからない。
(飛鳥なら上手くやるんだろうけど・・・)
頭に浮かんだ悪友の姿に頭が痛くなる。
「別に話したくないならそれでいいけど、こんな夜中に出歩いてんなよ。早く家に帰れ」
このまま話していても怯えさせるだけだろうから強制的に話を終わらせる。
少し投げやりな言い方になってしまったがそこは仕方がない。
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