寄生虫
「やだっ! きもっ!!」





志穂は指に挟んだ虫を、タイルの壁に投げ捨てた。






ビタンッ!!という音を立てて虫は壁にぶつかった。







虫はぬるぬるとした体液を出しながら、壁に張り付いた。







ドサッ!!






志穂のとなりで何かが倒れるような、大きな音が鳴った。







孝之が倒れた音だった。





倒れた拍子にお風呂の栓が抜け、みるみる内に水量は減っていった。






その間も志穂は虫から目を離すことはなかった。

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