更生は赤詰め草で
早苗は身構えた。恐怖はない。

─相手は5人。試合じゃ1対1しかやないからなぁ、大丈夫かな?

そんなことを考えながら重いバック振り回した。

一番手前まで近づいていた相手にバックが当たる。振り回した遠心力を利用してそいつのこめかみに蹴りを叩きこんだ。そいつはそのままバランスを崩して隣にいた者を巻き込んで転んだ。

「ぐっ!」「うわ、おい!」

─体育のまんま短パンはいておいてよかった!

倒れた者の逆の隣の攻撃を身を低くしてかわし、鳩尾に鋭い突きを入れる。

「うぁっ!」

─あと、2人!

そう思って振り向いた時、後ろからの蹴りをまともに受け前から攻撃を仕掛けてきた者と正面からぶつかった。

「キャッ」

「へぇ、案外可愛い声だすじゃねーの!」

そいつに捕まる前にあごにしたから手のひらを叩き込み、腹に思いっきり膝蹴りを入れた。

「うっ!」

振り向く前に下に向けていたバックを思いっきり上に振り回す。
当たりはしなかったが、後ろから来ていた者がバックをよけて止まる。
その隙にすばやく間合いを詰め顔めがけて右ストレートを叩きこんだ。

「がっ、てめ」

くるり、と背を向けて走った。ちょっと様子見に振り返ったら、砂場に足を取られて転びそうになった。その時、あるものが目に入った。

─お、いいものはっけーん!


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