更生は赤詰め草で
早苗の目に留まったのは、子供の砂場用の遊具──バケツ
早苗は小さなバケツを手にとると、砂場の砂の─特に乾いててさらさらしている部分をバケツいっぱいに取り少年たちに投げた。
砂は彼らのところまで届かず、少し手前に着地し盛大に砂埃を上げた。
「「ゲホッ、ゲホゲホッ!」」
砂埃は彼らの目や口にまで侵入し、少しの間だけ、彼らの視界を妨げた。
「あいつ、逃げ足スゲー速ぇー」「感心してんなバカ!」
彼らの視界が回復したとき、彼らの前に早苗の姿は無かった。
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少年たちの目の届かなくなった所までくると、早苗は足を緩めた。
「あーもう、制服が埃だらけになっちゃったじゃん!」
砂がまとわりついている部分に関しては自業自得なのだが、そんなことは気にしない。
「それにしてもあたし足速いなぁ、陸上部入れるんじゃないの?」
あははーと笑いながら軽い足取りで家に帰った。