更生は赤詰め草で

早苗達が戦いを始めた頃、少し離れた道に二人の男子生徒が下校していた。

二人が他愛の無い話題を話しながら歩いていると、前方からただならぬ雰囲気をまとったどこぞの学校の学ラン姿の男十人近くがあわただしく走って二人を通り過ぎて行った。

彼らの後姿を見て、一人が少し興奮気味にささやいた。

「なんだあれ?」

「さあな、最近うわさの喧嘩じゃないのか?」

一人とは反してもう一人は面倒そうに答えた。
そんなことは微塵も気にせず、少年は問いを続ける。

「隣のクラスの里山の?」

「そう、あの制服はガラの悪さで有名な西高だろうな。あの女も随分面倒なとこに目つけられたな。」

最初の少年は「ふーん」と言って彼らが去ったほうを見つめた。
そして、唐突に言った。


「なぁ、ちょっと見に行こうぜ?」

「あ?」

もう一人の少年は連れの一言に眉を吊り上げた。

「嫌に決まってんだろ。何でわざわざ面倒に首を突っ込むような真似すんだよ」

最初の少年は「お願い!」という風に手を合わせた。

「ちょっとした興味だって。な?頼むよ、ヒスイ」

ヒスイと呼ばれた少年は黙って、少年をにらみつけた。
少年は子供のようにヒスイの制服の端っこを引っ張って訴える。

「なー、行こうぜー?」

「ったく、仕方ねーな!ちょっと覗いたら帰るぞ!」

「やりぃっ!」

そう言って少年は先ほどの彼らを追って走り出した。

「おい、待てよユウジ!」

ヒスイもユウジの後を追いかけていった。
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