更生は赤詰め草で
「うーん、女の子相手へのアプローチとしたらまだまだだね、ユージ」
いきなり耳元で声が聞こえ、早苗は飛び上がった。
あわてて振り向けば、早苗たちとそこまで年は離れていないであろう女性がいた。
漫画のように気配などというものを読めるわけではないが、後ろの存在に声がかかるまで全く気がつかなかった早苗の胸は大きく鼓動を打った。
「ダメダメ、こいつにそんな自覚ねーよ」
「ヒスイてめ、そりゃひでーよ!」
「まぁ、そっか。ユージだもんね」
その女性とは二人とも親しい仲らしく特に驚く様子もなく会話を続けている。
思いっきりアウェー感を出され、早苗はユウジに女性の正体を聞いた。
すると彼女はヒスイの姉だという。
サイズなどからすれば、たった今早苗が借りて着ているこの服も彼女のものだろう。
早苗は遅ればせながら、とあわてて挨拶をした。
すると彼女は両手を挙げていいのに、といって早苗を抑えた。
「ま、あたしがいきなり出てきたのがいきないんだからね。改めましてあたしは絢杉葵(あやすぎあおい)、こいつの姉。よろしくね」
よく見れば確かに、二人には似たところが多々見受けられた。