更生は赤詰め草で
暗く、人気の無い公園。
もう10時は回ろうかという時間に少女は立っていた。
マラソンを完走したばかりのように大きく肩を上下させ、短く息をつく。
崩れたセーラー服のリボンを無造作にむしりとり、喉元を緩める。
それを運動というならばいささか野蛮すぎるであろう。
何せ、少女の周りには顔を傷だらけにした少年たちが座り込んでいたのだから。
少女と同じくらいか、前後2歳くらいの少年5,6人の中にはあきらめの色が強く出ている者もいた。
一般にこの光景を見て、思い当たるのはただ一つ。
『喧嘩』だ。
少女は一つ深呼吸をし、少年たちに睨みを聞かせながら尋ねた。
「まだやるの?」
「──ッ、クソ!行くぞ!!この借りは必ず返すからな!覚えとけ!!」
リーダーらしき一人の少年の声に座り込んでいた少年たちはリーダーの子に続き、走って帰っていった。
一人取り残された少女は、安堵に浸るでもなく取ったリボンで近くの木を思いっきりはたくと、大きく舌打ちをしてから家路についた。
いつからこんなことをするようになったのだろう・・
決して自分から望んだわけではないのに・・
そして少女は数週間前の自分の思いを馳せる。