更生は赤詰め草で
見本───それはヒスイの姉、葵のバイトのことだった。
葵は有名チェーンのファストフード店でバイトをしているとのこと。
さわやかな笑顔、声、対応が要求されるなかなかに大変な仕事であると聞く。
葵の笑顔といって思い浮かぶのは何かをたくらんでいる時の不適な笑みか、誰かを脅・・いや、自分のお願いを聞いてもらうときの恐ろしいオーラを携えた黒い笑みしか知らない。
必死にさわやかな笑顔、というものを思い浮かべてみたがそれを葵に重ねることはどうにも難しかった。
何せ、弟のヒスイですらあまり想像できないという。
それを早苗がわかるはずもなく、ユウジも共に三人は店の入り口をくぐった。
「いらっしゃいませ!ご注文がお決まりでしたらこちらにどうぞ!」
三人は絶句し、呆気にとられて口をポカンと開けた。