更生は赤詰め草で
*  *  *  *

夕方近く。
それでも多くの人が行きかう街。
都会の陰には危険あり。誰でも聞くような言葉。
それを本当に信じて危険視するものは少なく、多くの人間が油断している。

「ありがとうございましたー」

そんな言葉と機械音を合図にコンビニから人が出入りする。
老若男女たくさんの人が訪れる。
少女もコンビニから出て行った。

油断は誰でもする。
危険が自分に訪れるとは思っていないために。


少女は駅への近道となるビルの隙間の狭い道を通る。


少女の名は里山早苗(さとやま さなえ)
部活には入っていないが、空手を習っている。
軽い縦パーマの入った茶髪は少し伸びてきて、もう少ししたら束ねようかという長さ。

髪と同じ色の瞳は狭い道をただとらえているだけだった。

道は、狭いとはいえそんなに人通りが少ないわけでもない。
ただでさえ狭いのに、2台の自動販売機が置かれて、人がギリギリでぶつからずにすれ違えるほどの狭さはその圧迫感を増す。



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