更生は赤詰め草で
そこにいるのは紛れもなく葵だ。
だが三人が知る葵はどこにもいなかった。


明るくハキハキとし、きびきびと働く。
極め付きはその笑顔である。


――眩しい
それが正直な感想だった。黒い笑みではなく、その対極。
電気にパッと照らされたような、でも決して不快ではない。


それが作り物と知っているからそう思うことが出来たが、知らずに見たら心底笑っているかのように見れるだろう。


「スゲー」

ユウジが感嘆の呟きを漏らした。
ヒスイはと言うと自分から誘ったくせに一番ショックを受け、まだ硬直している。


「お客様、お決まりでないのでしたらこちらをご覧になって、列の最後尾のお並びくださいませ」

と言って葵はメニューを差し出し三人を誘導した。
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