更生は赤詰め草で
それからしばらくは、襲撃もない日々が続いた。
早苗と他校に関する噂によって周りに避けられることもユウジとヒスイが居てくれることで気にならなくなった。
だが、平和になったとは言えなかった。
早苗を仲間内からはじくことが、そのうち無視だけでなくいじめにまで発展していったのだ。
言葉や視線の非難はたやすく受け流すことが出来たが、物が隠されたりなくなっていたりすることはさすがにどうしようもなく、途方にくれる日々だった。
犯人の特定は出来ない上に、多くの者が見てみぬふり。
何も出来ない早苗を嘲笑う奴はいる。
けれども手出しは出来ない。
ストレスはたまる一方でこんな時こそ、襲撃がくればいいのにとまで考える始末だった。
「あーあ、こんなになっちゃって・・」
ゴミ箱から自分の上履きを引っ張り出して早苗は呟いた。
「全く、どいつもこいつも幼稚なことしやがる」
パンパンとほこりを払っていると、数人の女子がクスクス笑いしながら通り過ぎた。
「何やってんだ?」
舌打ちして彼女らが去ったほうを睨んでいると、後ろから声がかかった。下校しようとしているヒスイだった。
「見ての通りですよ」
早苗は不機嫌にほこりを払い続ける。