更生は赤詰め草で
そんな道に、いつもならばいない不良らしき少年たちの集団がいた。

狭い道にたむろしてぶつかったり邪魔だという視線を向ける人々を気にも留めないで座り込んでいる。

彼らの年代はこの時間帯では帰宅する人間のが多いというのに、そこにたむろし始めた者たちは一向に帰る気配を見せない。
それどころか、時刻が遅くなるに連れて人数が増えていく。

他の人間たち同様、早苗も彼らに迷惑とばかりに視線を投げかけて通り過ぎようとした。

その時、早苗は正面から来た男とぶつかった。

たむろしていた連中ばかり見ていたから前に対する注意が薄れたのだろう。
すみません、と一言謝ってその場を去ろうとした。

「あっれ、君さぁ?人にぶつかっておいてそれだけで済ますの?」

「は?」

突如として、たむろしていたチンピラに声をかけられた。

近い距離であるにも関わらずボリュームの大きな声が人々に響き渡り、数人がこちらに目を向けた。

見ず知らずの人にぶつかってしまったこと、チンピラに声をかけられたこと、街行く人の目が集まってきた恥ずかしさと怒りで早苗の顔に赤みが走る。

「ダメでしょぉ、ねぇ?人に迷惑かけたらちゃあんと慰謝料払わなきゃ」

「僕はそんなもの──」

「オッサンは黙ってな!」

まだ30代前半であろうその男性は、チンピラの異様な迫力に黙らされてしまった。

チンピラは立ち上がり早苗を嫌な目つきでじろじろと舐めまわし、視線と同じようなねちっこく話しかけてくる。

──こいつに技かけてねじ伏せてやりたい・・

早苗は苛々とそんなことを考え、チンピラの顔めがけて飛んで行きそうになる拳を押さえた。


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