更生は赤詰め草で
――…まさかね


早苗は呆れて頭を振る。
しかしもう一人の自分が悪い考えを囁く。


じゃあ何で由香に持って来させる必要があった?
机の中にでも入れておけば――

「あぁ!もううざったい!」

早苗は立ち上がり、カバンを持ち上げた。

まだ授業は残っている。
数人が目を上げて早苗を見送ったが、引き留めることはなかった。

校舎を出る早苗の背中をヒスイは窓から見つけ、後ろの友を振り返る。

しかし当の本人は違うところをボンヤリと見ていた。

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