更生は赤詰め草で
――…この寒気どっかでも経験したぞ?
一瞬、誰かの顔が脳裏を過るがわからない。
そんなことを考えてる間に圧力に耐えられなくなり、早苗は頷いていた。
「よし!」
碧は早苗の頭をポンとたたく。
早苗は碧を見上げる。
「若者よ、今を思いっきり楽しみな。深く考えずに、ね」
碧の見事なウィンクを受け、早苗の頬はほんのり染まる。
そして、久々の笑顔で―
「はい!!」
それを満足そうに見て、碧は早苗に背を向けて歩き出した。
「あの、ありがとうございました!」
碧は手をヒラヒラ振って答えた。
早苗はバッグを持ち上げ早めの帰路についた。