更生は赤詰め草で

夜・廃工場前

約束どおり、早苗は一人でその場に降り立った。

「さて、どうしますかね・・」

月明かりもないこの宵。
人のいない廃工場は不気味な佇まいで存在していた。

結局、ベッドの上で考えようとしたら眠りに落ちて結論は出ずじまい。
行かないことも考えたが、早苗は家を出た。

──ここで終わらせられるかも知れない。答えは出なくとも、それはそれでチャンス。

『楽しみな』

碧の言葉がよみがえる。

──考えなくても何とかなるっ!よし!

早苗は顔をパシンと叩き、裏手へ向かった。


< 77 / 106 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop