更生は赤詰め草で
早苗は男の手を振り払い、出来るだけ男から離れた。
早苗は混乱に目は見開かれ、息も荒かった。
嘘・・嘘でしょ?
私・・・なんで・・?
「あらま、早苗チャン大丈夫?」
「寄るなッ!」
男は半歩踏み出した足を戻して、楽しそうに早苗を見る。
早苗は大きく深呼吸し、胸に手を置いて落ち着かせた。
しかし大きく動揺した胸は変わらず肋骨を叩く。
「あんたの名前、教えてくれない?」
「あ?」
「そっちはアタシの名前知っててこっちが知らないんじゃ不公平じゃない?」
男は手をあごに持っていき、考えた。
早苗は息遣いも荒く男をにらんだ。
──少しでいい、落ち着ける時間を頂戴・・!
「岡田タカシ。オッケー?」
早苗は、短く頷いた。