更生は赤詰め草で

数分後

早苗は彼女たちを解放した。
口々に文句を言いながら立ち上がる輪のなかで、一人早苗だけは座り込んで床を見つめていた。

「里山さぁ」

顔を上げれば今解いたばかりの彼女らが早苗を囲んでいた。
これ以上、彼女たちに用はないはずだが、一体何か。

「まだ何か──」

「ごめんね」

「は?」

早苗は目を見張った。
誰かに乗じて笑っていることくらいしか出来ない彼女らが、今何を言ったのか。

「だから、ごめんねってば」

「こんなことになってるなんて知らなくってさ」

「そうそ、他校の不良がカラんでるとかビビッたし」

「こんなの、絶対にやりすぎだよね」

「あんたたち…」

早苗の目に熱いものがたまるのを感じた。

──別に、あんたらのことなんて好きでも嫌いでもないのに、何で…

「あたしたち、急いで警察とかつれてくるからさ、ソレまでがんばってね!」

それだけ言うと彼女らはそそくさといなくなった。

「おい、そこは普通手伝ってくれるとかじゃない?」

泣いて損した、と思いながら早苗は立ち上がった。
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