更生は赤詰め草で
早苗はツン、と横を向いた。

「嫌」

「おお?いいのか、んなこと言って」

「カバン取り上げてあさっちゃうよ?」

早苗のカバンに近い子が手をかける。
とっさにカバンを引いてその子の頭に振り下ろす。

「いってぇ!中身何入ってんだよコイツ!」

頭を抑える子を周りは面白がって笑った。

「私、急いでるんだけど。そもそもバスとか使って学校来てる訳じゃないし、寄りたい場所もなくて金なんて持ってくる訳ないだろ」

彼らはさっと目配せを交わす。ニヤニヤとした笑みはさらに口端を吊り上げた。早苗もこんなことで彼らが引く訳はないと思っていたが、以前よりも増した嫌な予感が、背中を通り抜けた。


「そうなったらやっぱ、なぁ」

「おうよ」

「そうそう、体で払ってもらおうか」


早苗は即座に何が言いたいか察した。

―この糞野郎共…!!

「こいつを捕まえろッ!」

彼らが一斉に動き出した。

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