更生は赤詰め草で

「松山くん!」

バタバタとしている中で、目覚めた由香が突然ユウジに向かって叫んだ。

──ゲッ!こいつまだいたのか!

早苗が顔色を変え、由香を止める前に彼女は叫んだ。

「私、松山くんのことが好きなの!」

「ああーー!!」

早苗は頭を抱えて叫んだ。
すると、後ろからゲシッと蹴られた。

「うるせぇ。黙ってろって」

にらみながら振り返ると、そこにはいつの間にかヒスイがいた。
文句を言おうとする早苗を押さえ込み、二人の成り行きを見守る。

ユウジは、突然の告白にひどく驚いた顔をしていた。

「あ…そか、ありがとう」

由香は今にも泣き出しそうな顔でユウジを見つめている。
そんな彼女にオロオロしているユウジ。
今すぐに返事を返さなければならない。

「松山くん…」

「あ、あの…うん。気持ちはスゲー嬉しい」

ユウジもまた、頬を染めている。
早苗はハラハラして、どきどきして、苦しかった。



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