更生は赤詰め草で
眉を下げ、困った顔をしながらユウジは、こう言った。
「でも…ごめん
君とは付き合えない。俺には彼女が、里山がいるから。」
「そんなぁ。あんなガサツでヤンキーのどこがいいの?」
「ちょっと失礼な!由香アンタ!」
「だっから、お前は黙れ!」
再度ヒスイが早苗を抑える。
その絵面を苦笑して一瞥し、ユウジは由香に視線を戻す。
「俺さ、こいつを初めて見たとき、あの不良にカラまれてケンカしてる時だったんだ。そのときに思ったんだ。
ああ、大量のショッカー相手に戦うライダーみたいって」
ズコッ!!
素晴らしい理由にそこにいた者たち漏れなくずっこけた。
逃げる途中で耳に入ってしまった不良も。
──あ…アタシは特撮ヒーローかっ!!
そんな周りに気づかずにユウジは顔を綻ばせて続ける。
「それからなんか放って置けなくなったんだ。
次に見かけた時にはもう助けようって決めてヒスイに言ってた。
そしたら成り行きで付き合うフリをすることになったんだけど、ぶっちゃけ俺まんざらでもなかったんだ」
ヒーローと仲良くなれるから、という言葉は発しこそしなかったものの、ヒスイと早苗にはそれがありありと見て取れた。
「そうして付き合ううちに、何かいろいろ違って残念に思ったこともあった。
あいつをどうにも思わなくなってきたとちょっと俺も思った。
けどさ、あいつが別のことで悩んでて、それなのに俺には相談してくれなかったことがスッゲー腹立ったんだよ」
早苗はハッとした。
あのいじめのことをヒスイにしか相談しなかったことだ。