小さな塊
「これ、オレオレ!」

彼は嬉しそうに自分の写真を指差して言った

「俺、LINKっていうチームでやってんだけどさ、あっ!俺アキラっていうんだけどさぁ」


彼が話しているのを見ると、テンションが高い時の自分を見ているようだった。

(いつもみんなテンションの高い時のあたしを、こうやってヤレヤレ…的な目で見てるんだろうな…これからは人の話もちゃんと聞こ…)



レイはアキラの話など聞いていなかった



「でね、でね、あれ………………聞いてた?今の話!」
「あっごめん、聞いてなかった…」

アキラは芸人のようにズコっと傾き、体制を整え、またニカッと笑った


「とりあえずさぁ、俺のアドレス教えとくからチケ欲しかったら連絡してよ!
友達も誘えばさ、来やすいっしょ?」

「あ……………うん」

アキラのノリノリのペースについていけず、言われるがままにアドレスを受け取った



アキラはスタッと立ち上がり
「じゃあね~!」

大きな手をひらひら~と振りデニムのポケットに軽く指をひっかけ海の方に歩いて行った



レイは再び光に吸い込まれていくアキラをぼーっと見つめていた



するとアキラが急に振り返った


レイはハッと我に返った


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