裏表な彼氏×天然な彼女
この空気の中、何も知らないKYな浬玖が鼻歌を歌いながら呑気に教室に入ってきた。


「〜♪〜♪ って…何? この…く………」


最後の方の言葉は消えかかっていた。


何も言わずに方向転換した浬玖の腕をガシッと掴んでこの場に留めた。


涙目で『早く離せ!! この場にいたくねぇ!!』と訴えている。


生まれてからずっと見てきたんだからそれくらい分かる。


でも右腕を唖稀が、左腕を屡季が掴んで離さないためさすがに敵わないらしい。


この場から去ることを諦めたようだ。



「で? 言いたいことがあるんならどうぞ?」


ニッコリと笑顔だがどす黒いオーラを忘れずに言った。


すると一人の男があたしの前に出てきて…


「実は………」


ぉっ…
やっと言う気になったのか…


と感心した。


まぁ…実際は感心するほどのことでもないんだろうけどね…。


なぜかクラスにいる皆さんが息を呑んで、見守っている。


「実はオレ、和乃さんが好きなんだ!!」


……………。
………What?


五教科の中で1番苦手と思われる英語がでてきたんですけどー…。





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