TAKING IN
マイトは林の入り口までたどり着くと、振り返る。


かすかだが、音はまだ聞こえている。


ガサガサ……。


マイトは手ごろに太い木の枝を拾い、身構えた。

音が近づくに連れて、音の正体がわかった。


「なんだよ、あいつらは」マイトは見たこともない生き物にを見て呟く。


草原から見え隠れしているのは拳ほどの大きさのキノコだった。
ただ、普通のキノコとは違い、手や足が生えていた。

しかも、顔らしき場所には見開いた目がこちらを見据えている。




草をかきわける音はまだ続いていた。


ガサガサ……。


同じキノコが三体。



三体のキノコはマイトから目を離さず、間合いを縮めてくる。




マイトは後ずさる。


その時、何かが呼ぶ声が聞こえた。


「こっちよ、こっち。こっちに逃げて」


?!

今度はなんなんだよ。
マイトはどんどん近づいてくるキノコに臆しながらも、呼ぶ声に耳をかたむけた。


「湖。さっきいたところに来て!早く!」


まじかよ。
マイトは目の前にせまってくるキノコに戸惑いながらも、走った。
キノコに向かって。



イチかバチかだ。
不気味なキノコは小さい、飛び越えれば、という考えだった。
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