愛を君に
愛を君に
「見てみて!!可愛い!!」
「…」
「ねぇ!!」
「…ん?あぁ。可愛い可愛い」
「なっ…」
そういって隣の男はまた本に目をやる
最近まで本が恋人と噂されていた
朔と付き合い出して
1ヶ月
相変わらず
「本が恋人なんですね…」
「なんか言った?」
「なんでもない…」
暇だなぁ…
横に居る朔は本当にアタシなんか眼中になし
ずっと本見てる
アタシも何か小説読もうかなとか思ったけど
男女が並んで本を読みながら歩いてるのってどうよ?
不気味だ…
はぁ…朔、こっち向いてよぉ
本じゃなくて
アタシに夢中になってよ
*********
翌日
「あんたも物好きよねぇ」
うっ…
親友の桜に痛いところを突かれる
「だってさ!!デートもしてくれないんだよ!?土日は勉強する日だからとか言ってさ!!帰る時は本ばっかり見て…」
「咲華…そんなん告白する前から知ってたでしょ?」
「…」
それはそうだった
だけど
淋しいものは
「淋しいんだもん」
「はぁ…ほら迎え行くんでしょ?」
桜がアタシの頭を撫でながら「大丈夫よ頑張りなさい」って言ってくれたから
少しはがんばれそうだ