愛を君に


「どうしたの…?」


「どうしたの…?だと?」


あれ?


「いきなり走ってどっか行ったのは誰だ」


「アタシです…」


「急いで追いかけたのに裏道なんか通りやがって」


そういえば…


「こっちから家に帰れないだろ」


はい…その通りです


「それに…何かあったらどうするんだよ」


「いくら日がまだ明るいからって人気(ヒトケ)のないとこ1人で帰るな」


朔…?


「ったく…本、読めなかった」


「ごめん…」


「そう思うなら二度と離れるな」


俯いていた顔をあげると


ぎゅっと抱きしめられた

「さ…く?」


「勉強を最初教えてたんだ…そしたら好きな小説作家の話になって少し盛り上がっただけだ」


「無理しないで…」


「は…?」


「朔…本当に好きな人のところ…もう、行っても良いよ…」



知ってるよ…朔の好きな小説作家さんは結構マイナーな人なんだよね

アタシだって全シリーズ読破したんだから


言えずに来てしまったが


< 5 / 9 >

この作品をシェア

pagetop