あなたの大切なもの
「今なんて?」

目をぱちくりさせて聞くあたし。

「だ~か~ら~、好きなように遊んで全部忘れろってゆっとるねん!」

「何で?」

「どーせお前の事やから、まだ白浜の事とかさっきの奴の事とか引っ張ってんねんやろ? そんなん遊んだら忘れてまうって♪」

「だから呼び出したん?」

「ん? うん」

「何で?」

「何で? ってゆわれても…前もゆうたやん! 好きな奴には笑っててほしいって。 忘れた?」

刹那はニカッと白い歯を見せて笑った。

…いっつもいっつも、あたしの為にしてくれてるんや
何でいっつも、あたしの中に入ってくるんやろ。
あたしの気持ち、何で刹那が一番に分かってくれてるんやろ…。

あたしは涙を流した。

悲しいからじゃなくて、めっちゃうれしかったから…。
あたしのためを思って、気を使ってくれる刹那が、とても大切に思えたから…。
< 107 / 270 >

この作品をシェア

pagetop