あなたの大切なもの
何回も同じことを言う純に、あたしはどなりつけた。

「そんなん知らん! あたしはもうあんたなんか好きちゃう」

「じゃぁ誰が好きなん? 今日おった男?」

図星をつかれた。

…図星?
そんな言い方したら、あたしが刹那好きみたいやん。

…でも、どっちにしたって、純には関係のないこと。

「ほっといてってゆっとるやろ!? もうかけてこんとって! じゃあね!」

「ちょっ! 待てや。 まだ話は終わってな――」


ブチッ―――

あたしはすぐに、登録してない人からの電話は、着信拒否になるように設定した。







…もうあたしは、あんたの思い通りにはならへん。
都合いい女にはならへん。
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