あなたの大切なもの

電話を切った百合は、眠りに落ち、夢を見た。
とても懐かしい夢を見た。


中学１年の春――

あたしは、さらっぴでまだ重い制服を着て、なれない教室へついていた。
入学式の日、桜は満開だった。
風に吹かれて、ヒラヒラと散ってゆく桜を見て、心が温まったような気がした。



あたしの中学は、特に悪い学校でもなく、いい学校でもなく、普通の中学だった。
だけどこの中学では、ゆるい校則のせいか、甘い先生のせいか分からないが、ガラの悪い連中が、どの学年にも居た。

ピアスを付けた奴、髪を染めてる奴、制服を着用していない奴、先生に喧嘩を売る奴…。





あたしは、１年の中では目立つ方だった。