あなたの大切なもの
放課後―――


さて……と。
帰る用意も出来た。
あとは帰るだけ。


「綾女ぇーー! 帰ろうぜぃっ! 今日はどこ寄る?」


うきうき気分で言うあたしに、真顔で言う綾女。


「…あんた、今日委員会やろ」

「………げ」


忘れてた。
キレイさっぱり忘れてた。
ドア付近にゆっくり目をやると、刹那がノートを持って待っている。


「やっば…行かなあかんと思う?」

「当たり前やろ」


いつもは真面目じゃないくせに…。
綾女のあほ。


「何って?」


心の中を読んだみたいに、キッとあたしを睨む綾女。


「何もないっす~♪」


こっわ~。

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