あなたの大切なもの
時間が 止まったかと思った。

ゆっくりと口を開いて、答えた。

「勉強? 頑張ったよ…めっちゃ」

いつしか、あたしの顔から笑みが消える。
顔が引きつりそうだ。

「やのになんで、こんなチョイミスばっかやねん。 やってへんかったからとちゃうんか?」

淡々と話すお父さん。
あたしとは、目もあわせない。
テストだけを見てる。

そんなお父さんに、苛立ちが募る。

「やったよ! めっちゃ頑張ったよ! なんで!?」

「全部100に出来るようにせぇ。 期末は9教科100にせぇや」

信じられへん。
ほめてくれんかった。
なんで?
なんでそんなに成績が大事なん?





あたしの中の、もろい何かが崩れていく。
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