あなたの大切なもの
「なんなん!? なんでそんなに成績が大事なん? 褒めてくれんの? おめでとうとか言われんの?」

自分でも何を言ってるのか、わからなかった。
でも…今まで堪えていたものが出てくる。
心が……黒く染まっていく。

「あたしはお父さんのものじゃない! 道具じゃない!」



あたしは家を飛び出した。



どこに行こうとか、どうしようとか考えてなかった。
ただ、あの家には戻りたくない。





それだけを考えて、ただ、ただ、ひたすら走り続けた。
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