あなたの大切なもの

裏切り

その日は普通の毎日だった。
純と一緒に登校し、一緒に下校し、ゲーセンに行って、帰ろうとした時だった。

「楽しかったなぁ! じゃぁ帰るなぁ♪ また明日いつもの所で待っとくから~! ばいばーい♪」

あたしは、明日にも同じような時間が流れると思っていた。
ううん、思っていたんじゃない。
思い込んでいた。


「百合!」

ルンルン気分でバスに乗ろうとしたあたしを、純が呼び止めた。
こんなこと、しょっちゅうだ。
”もうちょっと一緒におろうや”
毎回のように、純が口にする言葉。
あたしはまたその言葉が出てくると思い、純より先に声を出した。


「も~しゃぁないなぁ。 あと30分だけ一緒におろ――」







「百合、俺と別れて」

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