あなたの大切なもの
「う…そやろ? 何ゆうてん? 意味分からんって純」

「こんな雰囲気の中で、嘘なんか言うわけないやろ」


心臓が―――止まったかと思った。


彼の目は、一寸の迷いもない。

「な…んで? 今日一緒に登校したやん! デートしたやん! プリクラに、”一生カレカノ”って書いたやん! なんで?」

「…今日を最後の日にしよ思て来たから」

言葉が、理解できない。
何を、言ってるの?

「ちょぉ待ってよ! 嘘やろ? 嘘ってゆってぇやぁ!」

「嘘ちゃう」

だんだんと、悲しみが怒りに変わっていく。




溜まっていく。

溜まっていく。
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