あなたの大切なもの
教室に残された綾女は、震える掌を握り締め、呟く。

 
「…何よ、何でいっつもあの子ばっかり、ほしい物手に入れるんよ…」


いつしか彼女の目には、うっすらと涙が浮かんでいる。
誰も居ない教室には、彼女の微かな嗚咽が鳴り響く。









窓から映る景色は、真っ赤な夕焼けに覆われ、遠くの方で哀しそうにカラスが鳴いていた。
< 16 / 270 >

この作品をシェア

pagetop