あなたの大切なもの
目を覚ましたが、まだ空は黒く染まっている。
生ぬるい風が吹いて、葉がサワサワとゆれている。


あたしは、冷蔵庫に冷やしていた紅茶を用意して、ベッドに座った。
刹那が取ってくれた、猫のぬいぐるみをかかえて。



今になって思う、失った親友の大きさ。
綾女が居たから、今のあたしはいるということ。




でも、もう遅い。


綾女は、あたしの隣では笑ってないんだから。

あたしは、あたしの意思で、彼女を切り離したのだから。

あたしは、あたしのこの手で、彼女との縁を切ったのだから。
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