あなたの大切なもの
用意が出来たあたしは、家を飛び出す。


携帯に映る時間は、10時10分。
今から向かっても、普通着くのは10時15分過ぎになるだろう…。
だけど、足が速いあたしは、3分くらいで着く! 
多分…。

信号は赤。
イラつきが溜まる。


時計台にやっと着いたあたしは、良紀の姿を発見した。

「良紀ぃ!」

「遠野さん! よかったぁ」

「ハァッ…ごめッ…遅れて…」

「ええよ! めっちゃ疲れてるやん」

「走って…来たから…ハァッ…」

つか…良紀かっこいー!
めっちゃかっこいい服やし!

「まじで? 急がんくてええってメールで送ったのに…」

「でもっ! 良紀が待っとるから…ハァッ…」

「クスクス――遠野さん、ちょっと待っとって?」

「うんっ…!」

疲れた…やばい死ぬ…。
てか喉渇いたし…。
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