あなたの大切なもの
良紀は時計台から離れて、どこかへ向かった。
その間、あたしは日陰で休む。

9月やからゆうても…やっぱまだ暑いわな…。
冷えた紅茶飲みたい…。


そう思っていると、ほっぺたに何かが触れた。

ヒヤッ―――


「ひぁっ! 何?」

「はい! 冷たい紅茶! 飲み?」

「え…? いいん良紀?」

「うん、どーぞ!」

「…ありがとぉ」

あたしが飲みたいって思っとったら、ほんまに買ってきてくれた。
あたしのこと、分かってくれてるんかな…?

こんなん絶対、刹那やらんわな。
反対にあたしにおごってって、言いそうやし。
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