あなたの大切なもの
ピンポーン――


陸斗に教えて書いてもらった、へたくそな地図を頼りに、刹那の家へきた。


ありきたりなインターホンの音が鳴る。

やばい…めちゃ緊張してきた。


ガチャ―――


ドアから出てきたのは、綺麗としかいいようのない人だった。
緊張がMAXに達した。

「あっ! あの、あたし刹…小城君と同じクラスの、遠野百合っていいます。 ずっと休んでるんでお見舞いに来たんですけど…」

「あ! もしかして刹那の彼女さん?」

「――!? ちゃいますっ!」

「クスクス――」

…笑われた。 
はずい…。
でもこの笑い方、刹那にそっくりや…。



「そぉなん? 来てくれたんは嬉しいんやけど、あの子今居らへんのよー」

……え?

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