あなたの大切なもの
ガクガクとあたしの肩を揺らす。

「お願い! 今までのこと謝るからぁっ! あたしはアイツについていかれへん! アイツ異常やねん!」

狂ったように話す綾女。

「ちょっと落ち着いてよ!」

「あかんねん! あたしがあんなヤツと組んだからや。 ごめん! 百合ごめんなぁ! もうあたし――」

「綾女!」

大声を出して綾女を止める。
そして、おだやかな声で綾女に問いかける。

「落ち着いて話して? 『アイツ』って誰のこと? 『組む』って何のこと?」




この時、聞かなきゃよかった。





今から始まる、悪夢のような惨劇を見ることになるなら――
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