あなたの大切なもの
あたしが今、どんな状態なんて分からない。
だけど、泣きすぎなのは確か。
ボロボロとあたいが流す涙が落ちて、刹那の顔にかかる。

「あたしは――あたしは刹那が好きやの! やから…やからっ――!」

「遠野……ほんまに……?」

「こんな状態で嘘なんかつける訳ないやろ!?」

「ほんま…? うれし―――」

「ええから喋るなって!」


お願い神様――!
刹那を助けてください。
つれていかんといて下さい。

あたしの命やったらあげます。


やから刹那を――

 あたしの大切なものを

  あたしからとらないで下さい。
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