あなたの大切なもの
「俺、今の親がほんまの親やて思い込んでて、中学になって初めて知ったとき、まじでショックやった…。 やから俺、中学の時、めっちゃ荒れててん」

「…………」

刹那…が?
全然想像つかへん…。

「…で、中学もおもろいことなんかなんもなくて、ただ行くだけやった。 高校も絶対おもんないって思っとった…」

「うん……」

静かな空間の中、あたしと刹那の声だけだ響いていた。

「高校の入学式、ただボーッとしてた。 何も考えんと、ただボーっと…」

「うん…」

「そんなときに、お前に逢った」

………え?
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