あなたの大切なもの
ふわっと壊れ物を扱うように、あたしの髪に触れる刹那。
もう片方の手で、あたしの頬を撫でる。
その度、ピクッっと反応をしてしまうあたし。

「………百合」

初めて刹那に、下の名前で呼ばれた。
びっくりしたあたしは、口をあんぐりと開けている。
その顔を見た刹那は、クスッといつもの笑みをこぼした。


「百合……めっちゃ好き。 愛してる」



真剣な眼差しであたしを見る刹那。
あたしの答えは……もちろん





「刹那…あたしも大好きやで。 愛してる」






唇と唇が重なりあった。
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