あなたの大切なもの
部屋には、刹那の義母さんと義父さん、綾女がいる。
みんな、泣いている。
…なんで泣いてんの?
様々な疑問が、あたしの脳内を飛び交う。



「―――ゆーちゃん!」

「遠野!」

バタバタと、いーちゃんと陸斗が担任と一緒にやって来た。

「刹那……は?」


陸斗の問いかけに、綾女が泣きながら首を振る。
そのとたんに、陸斗は力が抜けたように、頭を抱えてその場にしゃがみ込んだ。
いーちゃんは、何かが切れたように泣き出した。
部屋には、大勢の人のすすり泣く声が木霊している。




みんな…なんで泣いてんの?
刹那やったら…ここに居るやん?
また笑って学校来んのに…みんな、なんで泣いてんの?

刹那が横たわるベッドの横についた。
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