あなたの大切なもの
「……刹那?」

「………」

返事はない。

「なぁ…刹那シカト? シカトとか傷つくからやめようや…」

あたしは刹那に、喋りかける。

「刹那…? 何でこんな所で寝てんの…? はよ目開けぇよ…」


返事が返って来るまで、


「ちょっと…なぁって…。 なんで目開けへんの…?」


ひたすら、


「――ちょっと起きぃや! 何してんの? あんたが居るべき場所は、ここやないやろ?」


ひたすら、


「あんたは教室で、バカみたいに笑っとかなあかんねん! あんたの場所は、教室やろ!?」


ひたすら、


「あたしを守ってくれるんやろ!? ちょっと刹那!」


喋りかける。
< 219 / 270 >

この作品をシェア

pagetop