あなたの大切なもの
「死ねば……刹那に会えるかな…?」

そう思って、カッターナイフを探した。
机の引き出しに、ソレはあった。


カチカチカチ―――


丁度いい長さまで刃を出した。
手首に刃を当て、切った。


勢いよく出てきた赤黒い血が、部屋のじゅうたんを汚す。
真っ白だったじゅうたんは、赤色に染められていく。



何の思いもない。

何の感情も。



ただ、早く死にたいと思った。

だけどこれじゃ…


――――死ねない。
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