あなたの大切なもの
それからというもの、あたしはずっと部屋にこもりっぱなしだった。
食事も喉を通らない。
口に入るものは1つだけ。
温かい紅茶。
他はすべて、口に入れても吐いてしまう。



2日ほど前から、親も心配しだしたらしく、食事をドアの前に置くようになった。

………今さら何?
勉強のことしか考えんくせに。
小さいころから、あたしを愛さんかったくせに。


何をしても、褒めてくれなかったくせに。
怒ってもくれなかったくせに。



今さら…今さら心配なんかいらない。
あたしは…死ぬんだから。



決めたねん。

刹那が死んだ1週間後、同じ日、同じ時間に、あたしは死ぬ。

後悔なんかしない。
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