あなたの大切なもの
「そりゃ最初は何が何だか良く分からんくて、あたしたちから刹那を奪った百合ちゃんが、すっごい憎かった」

やっぱり……そうだよね。
例え自分の本当の子供じゃなくても、義母さんが刹那に愛情を注いで育てたってことは…他人のあたしでも分かること。

「だけどね…? 刹那が言ってた言葉、すぐに思い出したの」

「刹那が…言っとった言葉……?」

「あたしたちと刹那は、本当の親子じゃないっていうのは、知ってる?」

「あ…はい…。 刹那に聞きました…引き取られたって…」

「うん。 あの子は生まれて何ヶ月しか経ってないときに、本当の親に捨てられたの。 施設に預けられていた刹那を、あたしたち夫婦は引き取った…」

何て返事をしたらいいか分からない…。

だって義母さん…笑ってる。




「あたしね…子供が産めない体なの」

「――!? え…?」
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