あなたの大切なもの
「それから刹那は荒れだした…。 窓ガラスは割るわ、先生殴って校長に呼び出されるわ…ほんまに大変やった。 ははっ!」

不安をどこかにぶつけたかったんよね…。
あたしもそんなんずっとやから…。

でもそこで、お母さん笑う?



「でもね? 高校に入学してから、あの子は変わった。 小学生みたいに、『今日何があった』とか『誰と遊んだ』とか、めっちゃ楽しそうやった」

………え?

「その刹那の話の中に、絶対入ってたのが、百合ちゃんの名前」

ニコッとあたしに笑顔を見せた義母さんは、テーブルに置いてあるケーキをパクパクと食べだした。

「あ、刹那は遠野って子が好きなんや~って思って、刹那に聞いたねん。 『遠野って子が好きなん?』って…」

「刹那は…なんて?」


恐る恐る聞いてみた。





「あの子ね…『俺は遠野が好き。 アイツのためやったら何でも出来る』って言ってた」

……刹那…。
< 249 / 270 >

この作品をシェア

pagetop