あなたの大切なもの
あれからも電話をかけてきた純は、あたしが本気になって説得した。

「お願い…あたしはもう、純を好きじゃない。 もうかまわんとって…?」

と言ったら、

「そ……っか。 わかった。 1こ聞いていい?」

「……ん?」

「百合が好きなんは…アイツ? あの…小城とか言った奴」


一瞬、迷った。
言うべきか…。
だけど、あたしは


「うん、そうやで。 あたしは…刹那が好き」


そう言うと、純は微かに微笑んで、あたしの元を去っていった。


ごめんね純…

大好きだったよ。





でもあたしは今も…

  刹那が好きだから。
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