あなたの大切なもの
…何? 
それ……。
ずっと見てたって事?

……あたしの為に笑かしてくれたん?


「なんで?」

「だって俺、お前の事好きやもん。好きな人には、ずっと笑っててほしいやん♪ まぁそれで、他の男がお前の事好きになったら困るけどー♪」

「……あたしのために?」

「お前以外に誰が居る?」


…こいつ、アホや思てたけど優しいやん。
ゆうてる事は、めっちゃキザやけど。


「はいっ! 着ーいたっ!」

「――とう」


こんなこと、いつものあたしだったら絶対言わない。
絶対男子なんかに、言わない。

けど…、


「は?」

「…ありがと……」

「クスッ どーいたしましてっ♪」


刹那にだったら言えた。
ただ単に、嬉しかったよ。
刹那の言葉。

いたずらっぽく笑った刹那。





あたしは気づいていたのかもしてない。
ただ、そのことを受け入れなかっただけ。
刹那のことが好きや、って事…。
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